葬祭業におけるDX化が難しい理由

葬祭業におけるDX化が難しい理由

そもそもDX化って何かを定義する必要がある。

厚生労働省が進めるDX推進というのは、結果からの戦略である。
葬儀社の業務がDX化するのに難しいのは「人間相手」が重要だからだ。
業務の「デジタル化」と「デジタル・トランスフォーム化」の違いを知っていただきたい。

厚生労働省がいうDX化というのは単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を使い、働き方改革そのものを変革するところにある。単なるファクスや手書きの案内を電子メールやチャット化をするのではなく、アウトプットをどうありたいかが決めてである。

勤怠管理やペーパーレスにするだけではない

結果を重視することがDX化であり、単なるデジタル化ではない

生産性=生産量/投入量

よくあるのが「戦略的計画に基づいて」(Strategic Planning)という言葉を使う人がいる。
これはナンセンスであることを知ってほしい。

ハーバード・ビジネス・レビューのYouTubeでトロント大学のロジャー・マーティン教授が説明している動画があります。

A Plan is Not a Strategy

戦略というのは、「実行可能」でなければならない。
軍事用語である。
戦略とは戦い全体の教義である。戦術とは、戦いにおいてどのコマをどう動かすかである。
戦略は、実行可能でないと、絵空事で、現場では空論になってしまう。


この空論こそが、プラニング(計画)である。

計画は実行可能でなくても構わない。
つまり「ナニナニを計画しま〜す!」で終わってしまうことでも構わない。

よくあるのが、無理な計画(ライトセーバーを開発するとか)を立てて発表することが可能である。
勝手に計画を立てることが可能であり、それが実行可能である必要も保証もないが、戦略は戦いにおいての目標達成における行動・活動である。

そこで、DX化が関わってくる。

DX化というのは結果をどうありたいか、戦略を立てた考えで、売上目標130%とかを意味することである。
そこに向けてどう企業の資産(人や物、カネ、時間など)を投入し、最大限の線賛成(アウトプット)を上げるかの話になる。

そこにはKPIとKGIの概念がある。

KPIというのは過程を見てゴールを目指すこと。
KGIはゴールを見て、過程を作っていくこと。
簡単にいうとKGIは売上目標前年比130%アップするというゴールに、KPIはどう業務を進めるか、何を導入していくかなど数値的に見える内容である。

数値的に見える!

そうなんです。
葬祭業がDX化が難しいのはKPIで示すことができる顧客満足度や市場規模だけではなく、人の「感情」が伴う仕事であるからだ。

お葬式のプレゼンテーションを映像化したり、説明したりすることは簡単である。
しかし、パワーポイントを利用してプレゼンテーションをしたからと言って業務効率が上がるかと考えたらそうでもない。


お葬式のマーケティングの難しさがここに現れる。

人の生病老死をビジネスにしているからではない。
それなら病院も同様であるが、医療DXというのは存在する。

確かに規模が医療現場よりも小さい。
葬儀社数は全国で4000〜多くて7000社(開きがあるのは、「屋号」(フランチャイズ)で分散経営している会社が多いから把握できない)。そして多くが今、吸収合併やフランチャイズ化で尚さら実態が見えなくなっている。

まして結果を重視するDX化で、どう改革・変革を進めるかも重要である。
たとえば、死亡届を出すのに、葬儀屋さんが役所へ届け出を出しに行かねばならない。
これが遺族がオンラインでマイナンバーを活用して出せたらという考えもあるが、これは無理な話なのは、そもそもマイナンバーのパスワードは亡くなった本人しか知らないはず・・・
鶏と卵の関係以前の問題である。

メールで葬儀の案内を出すことも可能だが、その発信するデータはどなたへ出せばいいのか?
以前、私は施主から「お葬式の訃報案内を各社へ出してくれ」と遺族から頼まれました。
遺族も忙しくて皆さんにそこの会社の会長がお亡くなりになったことを連絡するパワーがなかったから葬儀社に応援を頼んだ。

これも本来ならNGな話ではある。
葬儀社から「誰々さまがお亡くなりになり、通夜・葬儀はいく日です」って連絡がファクスで届いたら、届いたほうは「ナンでやねん?」ってなりますよね。
その後にうちへ問い合わせの電話がバンバン鳴りました。
それが当時の人たちなんです。

さて、ここで葬儀社のDX化が難しいのは、ファクスをemailにするとか、地図をGPSナビにするとかではありません。それは冒頭お伝えしたデジタル化です。


経営戦略というのは単なる絵に描いた餅ではなく、実行可能な行動です。

会社の本社機能はどういうことをしているのか、式場はどこにあるのか、競合はどこにあるのか、そして顧客はどういうところに住んでいるのか、病院へはどれくらいの時間で行けるのか、火葬場への道のりは、時間帯や曜日の渋滞状況はどうなのかなど多くが地図情報に基づいて動いていることがわかります。

戦闘機が敵機をインターセプトするのに似ていたりしますが、もちろん競合他社を撃ち落とすこと(つまり、ご遺体をハイジャックすること)は不可能です。

自社式場をネットで繋いで、業務効率をアップすることは可能です。
たとえばデジタルサイネージを使い、今まで印刷していた葬儀の案内看板や祭壇へ飾る大きな写真、更に式場案内などの貼り替えを瞬時にし、スタッフや物資の無駄な動きや運びをやめることでコストダウンが図れます。もちろん、初期投資は必要ですけど、これをやらない限りDX化は無理です。

印刷物もレーザプリンタからデジタル高速輪転機を使うことでコストダウンが図れます。
最近なら個人情報保護の視点にて業者から一般的な会葬礼状を粗供養品(ハンカチや塩セット)を納入してもらうこともできます。
もちろん、大きな葬儀では、メンツがあり、会社名や個人名を入れる仕様も残しておくことは大切です。

一般的な葬儀社がDX化が難しいのは、ツールそのものに不慣れな人たちが多かったことですが、最近では、多くの葬儀社が通信可能なiPadを持ち歩いていて、自社のフォーマットに合わせた見積もりを提示することが可能です。
一番難しいのが印刷として見せて署名をもらうことです。
全体的な像が見えないのがデジタルで、あくどい葬儀社だと施主が知らぬ(容認していない)費用が入っていたりする場合や二重価格だったりすることもある。

確実に説明不足な点もあるので、ご葬儀の流れと費用について同時に紙媒体も必要となります。そして用紙に署名して写真にてデジタル保存(紙媒体の撮影もOK)する。
しかし、これが今のインボイス制度に受け入れられるのか?
実際、B2CなのでOKの見解がでる。社葬の場合なら確実にB2Bなので別途対応が必要となる。

本当に難しい理由は、DX化をデジタル化と勘違いしている業者が多いのと、その違いを理解していない葬儀屋さんが大半であり、デジタル化したから、どう業務効率だけでなく、売上を伸ばしたり(現在、葬儀にかけるおカネは減る一方で、死亡者数は上がっているのに業界が萎んでいる状態)を打破する戦略が立てれないからである。


電話番を外注することは可能。
だがよくあるのが、情報のやり取りに漏れがあったりする。
その電話内容を後ほど聞くことが出来ない(ここはデジタル録音化されていない)。

遺影をオンラインシステムで発注するのは、もう30年前から出来ている。
私の会社はそのツールを提供していた。
だが、今の時代は自分でやるのではなく、デザイン含めて外部に任せて、出力だけ、こちらにデジタルで送ってもらいプリントしてもらうことだ。
遺影だけでなく、会葬礼状も同様。

業者がLINE WORKSやTEAMSを使ってスタッフと連絡を取り合うこともオススメするが、そんな費用は無駄だということを理解していない。
電話やSMSで本社側から指示を出すほうがずっと早いし便利である。
わざわざ専用アプリを立ち上げる必要もない。

集客には公式LINEやInstagram、TikTokなどを使う。
小さい葬儀屋さんの場合、社内の戦略にどう一致するかを検討できる人材がいないことが多いので、社長一人の業務が増えるだけだったりする。

セキュリティの担保は誰がするのか?
専任のIT管理者がいないことが多いので、できるだけ大掛かりなシステムを入れることができないのが現状である。
デジタル化で最小限はできるが、本格的に業務で必要なDX化(売上高や費用を瞬時に見て、どこが足りているのか、足らないのかエクセルのピボットテーブルで割り出すなどで次の手を考える)ことができる経営者がどれだけいるのかが課題である。


単にパソコンやタブレットを導入するのがDX化ではない。

届いたファックスがeFaxやStarfaxなどを活用するのはいいが、全員で情報を共有できない場合もあったり、別のコストが発生したり(ガソリン代と比べたら微々たるものだが)、教育時間が必要だったりする。これは初期導入費で割り切るしかない。
全員がデジタルツールを別途持ち歩く必要が出てくるのでコストは想像以上に嵩む。

大手が想像するようなツールや機能は葬儀社では無駄なコンサルティングだったりする。
それは規模が大きな会社で社員、一人ひとりメルアドがあり、Officeアプリが導入されたパソコンが与えられ、社内のサーバにアクセスできる仕組みがある前提で進められていて、そのコンサルティングを受けた葬儀屋さんの頭の中は「ポカ〜ン」とするだけである。

供養のオンライン化(ネット葬儀)は流行らなかった。実際、流行る前にコロナ自粛が解除された。
やはりお葬式は参加して心を通わせることが大事であると人間は認識している。

多くの課題が残ったままである。
火葬場の予約はオンライン化されつつあるが、これも別途費用が嵩む。
役所の諸手続きの仕組みがデジタル化が必要であるが、本人が亡くなっているから遺族が代理になり申請を認めるかどうかも検討が必要である。
その歳、遺族ははじめてのことだろうから、必ず間違いや手違いが起きてしまうだろうし、そこまでやりたいと思わない人たちも多いはず。

まして高齢者だったら、尚さらであり、慣れた葬儀屋さんにやってもらうしかないだろう。


まとめ

葬祭業におけるDX化の難しさ

DX化とは単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用して働き方改革そのものを変革することであり、結果を重視する必要がある。

葬祭業におけるDX化が難しい理由は、主に以下の3点:

1. 顧客満足度や市場規模をKPIで示すことが難しい

葬儀は人の「感情」が伴う仕事であり、顧客満足度を数値化するのは困難。

2. 業務効率化が難しい

死亡届の提出や葬儀案内の発送など、多くの業務が法規制や慣習によって制約されているがこれも時間の問題かも知れない。

3. 経営者がDX化を理解していない

DX化とデジタル化の違いを理解していない経営者も多く、効果的なDX化を進めることが難しい状況である。

DX化を実現するために

  • DX化の目的と目標を明確にする
  • 現場の意見を取り入れながら、無理のない範囲で改革を進める
  • 外部からの支援を活用する(その外部も理解していないことが多い)

具体的な取り組み例

  • 業務のデジタル化:見積書や請求書の作成、顧客情報の管理などをデジタル化
  • オンラインツールの活用:予約のオンライン予約、オンライン相談、オンライン供養など(オンライン葬儀は失敗している)顧客とのコミュニケーションを強化する
  • データ分析:顧客データや業務データを分析して、経営やサービスの改善に役立てる

葬祭業におけるDX化の難しさは、業界特有の課題と経営者の理解不足が絡み合っていることを理解して欲しい。まず、葬儀業界は顧客満足度や市場規模を数値化することが難しいという特性がある。葬儀は感情的な要素が大きく、顧客満足度を単純な数値で表すことができないためである。DX化は葬祭業にとって大きな可能性を秘めているが、多くの課題も存在する。
関係者全員が協力し、一歩ずつ取り組みを進めていくことが重要である。


YEYとして、葬儀のマーケティングオンラインセミナーを jFuneral.com を通じて行っております。どなたでも無料でポッドキャストをお聞きできます。ぜひご試聴くださいませ。
Apple Podcast、Spotify、Amazon Musicで”jfuneral.com” で検索し、ご試聴できます。

シーズン2
https://jfuneral.com/new-podcast-jfuneral-2021/

シーズン3
https://jfuneral.com/podcasts/podcast-jfuneral-season-3-new-2022/

シーズン4
https://jfuneral.com/podcasts/podcast-jfuneral-season-4/


Apple Podcast

Spotify

Amazon Music
SoundCloudでオリジナルをお聞きすることが可能です。

© 有限会社 ワイ・イー・ワイ 代表取締役 和田裕助
〒253-0053 神奈川県茅ヶ崎市東海岸北5-4-48
email: infodesk@yey.co.jp

下記よりダウンロード可能です