ブリッツスケーリング&タイミング
「ブリッツスケーリング」という言葉を聞いたことがありますか?
語源は「ブリッツクリーグ」で目的だけを果たすためにすべての最大の戦力をそこに投入し敵の壁に穴を開け、追い返したり制圧したりする戦法であり、これは第二次世界大戦中、ドイツ軍の戦法でもあった。
ドイツ軍の場合は上空と陸上から敵の弱いところへ集中攻撃をし、穴を開けて即座に戦車部隊を投入したやり方である。
日本語では「電撃戦」ともいう。

さて企業においてはどうなのか?
これが「ブリッツスケーリング」である。
激戦区の中で自分が置かれている状況で、誰もその市場の覇者がいない場合、多額の資金をベースにしてマーケットシェアを奪おうという戦法である。
そもそも、この「造語」を作り出したのはReid Hoffman氏らしい。
Paypalの創立に寄与しLinkedInを立ち上げ、Facebookの初期の投資家でもある人物だ。

https://hbr.org/2016/04/blitzscaling
さて、この「ブリッツスケーリング」というのは具体的にナンなのか?
簡単に言ってしまえば、湯水の如く資金のもとで、大量に人を資源を投入し市場を独占しようとする行為である。
しかし、ここにはものすごくリスクが伴うのは、資金が枯渇した場合、相手も同じようなことをした場合、さらにその資金の回収に時間が掛かったりすることだ。
もう一つ、知っていただきたいことがある。
これは国民性と市場の覇者を狙うことと顧客のことを思うこと、そして収益を上げることである。
微妙にズレがあって、どの時点で損益分岐点があるかだ。
まず、日本人は顧客を維持するために損を得ることが多い。これが今の「お客様は神様」の間違った精神論である。
次にヨーロッパ人、とくにドイツ人は従業員の満足度を重視し、どれだけ長く勤めてもらえるかを優先する。
アメリカ人は市場シェアを獲得を優先し、最初は損を得てもその後にドバっと入る収益を狙っていることが多い。これがVCが考えているスタートアップへの投資思考であり、ライバルを蹴落としたら値段を上げたりする。
資金や技術、物資が少ないアフリカやインドの場合(インドの場合は人はいるが)、利益優先にビジネスを考えて展開する。
ブリッツスケーリングとは企業が何らかの理由で急激に大きくなる必要がある戦法である。
つまり、VCが企業に投資している市場のシェアを拡大、いわば独占するために大量の資金を投入するときに使う諸刃の剣戦法である。
上記でも、日本人の顧客大切な故に損して得を取れだがその先を考えていないまたは、先読みすぎて泥沼にハマることと、ドイツ人は人材こと大切と考えて企業維持をし、次は法に訴えてアメリカ企業に制裁を負わせるやり方であったり、米国は今は損しても、市場を独占したらいくらでも釣り上げられると考える人もいたり、最初から資源がないところなので損はしないという感覚で展開する途上国を意識すると、ブリッツスケーリングはアメリカ人のやり方であることがわかる。
企業は事業を拡大するとき、いくつかの点を注目する。
一つは収益の増加(つまりキャッシュ・フロー)と顧客満足度を得て、徐々に拡大する普通のやり方がある。
もう一つは収益を無視して、どこからか投資を得て、その資金をベースに市場シェアを奪い拡大し、その後に収益をどう作るか考えるやり方である。
その中で、市場のシェアを大きく奪うことで、企業価値が生まれる。
だが、ここで注意してほしいのは、ある特定の年齢層(デモグラフィー)だけのシェアとかでは意味がない。
AmazonやeBayはどうなのか?
そもそも利益率が低いeCommerceであるが、大量にものが流れることで一つの収益が大きくなくとも積もってくるのと、更にそこに人が群がるからまた巨大かする。
FacebookやGoogleも同様に使う人がいるから広告を出す人たちが後が絶えない。
薄利多売戦略だった
ソフトバンクが展開したWeWork、Uber、OYOなどはどうなのか。
UberはソフトバンクのVision Fundから巨額な資金を得て獲得しようとした。
だが、ラテンアメリカでソフトバンクがUber、Didi、そしてRappiのすべてに投資し、市場の共食いを図ってしまい勝者がいなかった。ここは判断ミスとしか言えない。
Uberは欧米では法の抜け穴を利用したり、違反行為までして素早く展開することで、拡大した。
そして巨大化することで、既成事実を作ってしまい、法が対応するようになってしまった。
大きくなりすぎて、社会のインフラになってしまったことが法の敗因である。
法律が機能していないということだ。
日本ではすごく法律が厳しいのでまともに展開ができなかった。
しかし、その他の国では初回はバーゲンプライスだったり、友だちを紹介することで次回利用のためにクレジットがもらえることで拡大が出来たり(紹介方式はDropboxが拡大できた理由の一つだ)。
しかしWeWorkと違い、AirBnBやUberは自社保有のホテルやタクシーはない。
つまり保有資産がなく、アプリケーションのみのブローカービジネスである。

WeWorkは私も入っていたからよくわかる。
あそこは賃貸をサブリースする会社程度であった。
何がテクノロジーなのかさっぱり意味がわからない会社であったが、賃貸契約が嵩んで赤字に陥った。
そもそも、なぜそこまでオフィスを展開したのかも意味がわからない。
つまりシステムだけ(SaaS型のアプリケーションのみ)なら高速に展開が可能であるのがわかる。
もちろん、クラウドの費用は嵩むが固定資産がないだけ身動きは早い。
葬儀社の展開はどうなのか
葬儀社で拡大しているところは上場しているティアやきずなホールディングスがあったり非上場であるならファミーユ、ベルコ、日本セレモニーなどがある。
今、葬儀社の展開は今では新たに葬儀場を出すよりも、既存企業を買収またはフランチャイズに持ち込んだほうが出費が少なくて済むのと、ソフトバンクがモビリティサービスで共食いを避けることができる。
つい私にもそんな話が舞い込んできたが、どこも共食いは避けたい展開をしている。
葬祭業は既存事業者をM&Aするほうが得策であると考えるのは、葬儀そのものが嫌がられているので地域に式場が建ったりすると必ずとも言えるくらい反対運動がはじまる。
その対応がどれだけ経営者やスタッフに負担を掛けるかを考えたら、既存ビジネスを展開している会社を買ったほうがスムーズに展開できるので効率がよいことがわかる。
うちもどれだけ、住民説明会を展開したやら。
それで事業展開が遅れたりする。
逆にそれをきちんとやらないと嫌がらせがある。
葬儀業界でブリッツスケーリングが行われたところと言えば、旧「終活ネット」である。
DMMに買い取れて、多額の金額を使って三匹目とでも言える柳の下のどじょうを捕まえようと。
もちろん、葬儀ブローカービジネスは失敗して、DMMはその名簿をライフ・エンディング・テクノロジー社へ譲渡した。
そのLET社も現在低迷しているとも言えるだろう。
マーケットシェアを得るには、サポート体制も重要である。
SaaSと違ってお葬式は人間の文化と直結している。
もちろん、Spotifyみたいな音楽文化もある(これもIR情報を見ると未だに赤字を垂れ流し状態)。
優位性があるから、適当に値段を釣り上げることができるのも確かで、毎回物議を醸している。
東京都内では廣済堂100%の子会社である東京博善もその優位性を持って火葬料の値段を上げていることも事実である。
157期決算表を見る限り、火葬料収入が63億円で式場収入が24億円。


短期決算表を見る限り、63億も火葬料収入があればナンとでも出来てしまいます。
実際、火葬に関する費用が直接、決算表を見ただけではわからないのは電気代・燃料費が区別されていないからだが、110億円あることがわかる。
だとしたら、ここを軸にして展開が可能であるが、あえてそこまでやっていない。
廣済堂ホールディングスの決算説明会資料を見る限り、たぶん、そこは親会社の廣済堂ホールディングスで「葬祭公益」の営業利益が減っているからかも知れない。
ここは炉のメンテを内製化することが重要で、外部への流出を止めることをはじめているからでもあるだろう。
売上高は37億96百万円(前年同四半期比38.8%増)、セグメント利益13億57百万円(同53.6%増)と
葬祭収益セグメント
なりました。
2024年3月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
実は、エンディング産業展のときにCNNの記者さんをお連れしてお話を伺った。
その時に、炉の状況を見せてほしいとお願いをしたのだが、企業秘密があるのでメディアに公開することはお断りされた。
たぶん、大きな展開を見せるのだろう。
そこでかなりの軍資金が必要となっていると想定する。
もう一つは、葬儀社と火葬場の意識が違うというところにもある。
式場不足、火葬炉不足は実際に廣済堂・東京博善側ではそうは認識していない。
事実、私もそう思っているのは、使いたくないホールを空けているいる(葬儀社が小さい式場が開くのを待っていて、その追加費用を上乗せにしている)のではと見ている。誰が得をしているのか見る必要があると思っている。
式場稼働率がすべての葬儀社では自前で式場を抱えることが一番の頭痛の種の斎場の管理コストである。
まして、火葬場を自分で運営することは出来ない。
そこは東京博善は強いことはたしかである。
そういう意味では、葬祭業でのブリッツスケーリングは多大なる葬儀場費用が嵩むために起こることが非常に困難であるのがわかる。
そして、そこまでやる意味が葬祭業であるのか。
なぜなら死亡者数のパイは決まっている。
それは平均年齢から割り出して、どれくらい人が毎年亡くなるかが想像できるからである。
シェアをいくら拡大したからと言って、葬儀というのは地場産業でもあるから、大手が乗り込んできてもナンとか対応しているのも事実である。
逆に、大手がその小さい葬儀社を買い取ることでブランドをそのまま活用してシェア拡大のほうが腑に落ちる。
そのほうが効率が圧倒的にいいのと、この前の「合理化、効率化、最適化」として正しい発想である。
すなわち、この「合理化、効率化、最適化」を無視したのがブリッツスケーリングであり、スピード命である。
ブリッツとは稲妻ごとく(電光)、そしてスケーリング(拡大)である。

すべてタイミングが重要であり、そしてそこから飛躍的に伸ばせるには、競合を潰して(弱体化)からである。
逆にこのリスクは資金が枯渇した時点で自分が潰れる可能性もあったりするから注意が必要である。
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