多死時代の葬儀業界でのポストコロナ時代のパラドックス
多死社会なのに小規模葬儀社が苦戦している時代
日本の社会は、未曾有の「多死社会」へと突入しています。
厚生労働省の推計によれば、日本の年間死亡者数は今後2070年頃まで150万人以上の水準で推移し、2040年頃には約168万人のピークを迎えると予測されています 。
この数字だけを見れば、葬儀業界は拡大する市場機会に恵まれているように見えます。
しかし、多くの小規模・独立系葬儀社の経営者が直面している現実は、このマクロな追い風とは裏腹の、熾烈な生存競争です。
一見、外部からすると大勢が亡くなる時代で「葬儀やさんの世界はいいよね」と言われがちです。
隣の芝生は青く見えるという状況です。
当社は長年、それは違うと伝えてきましたが、一般の人からは葬儀業界の現状が見えないからバラ色に見えてしまうのでしょう。
まず、考えていただきたいことは、今、あなたがご家族のご葬儀(お祖父様、お祖母様など)のご葬儀を出さねばならなくなったとき、どうお考えなさるか?
- 費用を抑えたい
- 自分の予算もあまりない
- 医療費も心配
- 葬儀の小規模化
- 家族葬または一日葬にする
- 香典返しなどは面倒くさい
- ポストコロナだから後日、お伝えしてもいいだろうと
- 年賀欠礼はがきも面倒だから出さない
- きちんと葬儀を出されたい
- きちんと予算を確保していある
- 祖父母がおカネを残してくれた
- 世間体がうるさい
- 周囲にも過去に世話になった
チョイスとしては「やる」か「やらない」かです。
お葬式をやる方向に進んだ場合、規模です。
- 一般葬
- 家族葬
- 一日葬
- 納棺式をし、お別れ
- 後日のお別れ会(偲ぶ会)
お葬式をやらない方向に進んだ場合
- 直葬(火葬場へ直行)
- 式場にて火葬の当日で軽くお線香だけを上げるお別れ
「何もやらない」でご遺体を放置は違法となりますのでご注意
嵐の時代
日本の葬儀業界は、一見すると矛盾した状況に直面しています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の年間死亡者数は2040年頃に約168万人のピークを迎え、その後も2070年頃まで高い水準で推移する見込みです。
この「多死時代」は、葬儀サービスに対する需要が長期にわたり安定的に存在することを意味しており、業界にとっては追い風のように外からは見えます。
しかし実際は今まで地場産業として地域の縁の下を担いでいた葬儀社が疲弊しており、現実とは全く異なっております。
前述の通り、今、首都圏の普通にお葬式を出すご家庭が減っています。
30年前と比べて社会情勢、家族構成と生活環境が異なっているからです。
小規模葬儀社の経営者が直面する問題意識は、この市場のパラドックスそのものです。
現場の実感は全く異なる。特に資本力に乏しい中小の葬儀社は、かつてないほどの経営圧迫に苦しんでいます。
その背景には、二つの大きな地殻変動が存在するのがわかっています。
第一に、消費者の価値観の変化である。核家族化や地域社会との繋がりの希薄化、経済的な理由から、葬儀は小規模化・簡素化の一途をたどっていることです。
首都圏では、葬儀の6割近くが火葬のみの「直送」や「一日葬」、あるいは小規模な「家族葬」で占められるという現実は、一件あたりの単価と収益性の著しい低下を意味します。
第二に、この市場構造の変化を好機と捉えた大手資本による攻撃的な事業拡大です。
綜合ユニコムの調査によれば、2023年から2024年にかけて全国で800棟以上の葬儀会館が新設され、斎場専門設計士等からの意見で2025年も500棟以上の斎場建設が予測されるとのことです。
それだけ業界にて案件が発生しているとのことです。
この会館建設ラッシュを主導しているのは、豊富な資金力を持つ大手企業であり、彼らは近代的な設備と圧倒的なマーケティング力で市場シェアを奪い去ろうとしているので、小規模葬儀社は太刀打ちができない状態です。
https://www.sogo-unicom.co.jp/fb/n202506/p01

これを見ると愛知県が激戦区であることがわかります
更に2025年には500棟以上が増えると予想されています。
この斎場建設に力を入れているのが巨額な資本を持つ数少ない葬儀業の上場企業です。
燦ホールディングス、ティア、サンライフ、平安レイサービス、イオンライフ、東京博善(廣済堂)など。
更にアルファクラブ武蔵野、ベルコ、セレモア、日本セレモニー、メモリード、レクスト、くらしの友などの非上場企業の攻めもあります。
その中の付帯サービスであった、上場企業であるニチリョク、仏壇のはせがわ、メモリアルアートの大野屋も参入。
多死社会において、昨年は厚生労働省が想定していた死亡者数160万人達成が8年前倒しに到達してしまいました。この調子でいくと2040年がピークを迎えると言われているなか、もう少し早く達成するのではという推測も建てられます。
いずれにせよ、「マクロ」で見た場合、今後25年は葬儀サービスに対する需要は極めて高いレベルで維持されることが保証されています。
しかし、注意していただきたいのは「確実性」はあるもの、その後は緩やかに死亡者数が減っていくと想定されていますが、まだ先であるのと、15年、20年、25年先について他の社会変動などの調整が訪れるので大手資本に関しては気にするようではないという見方が強いのだろう。
今年、2025年に団塊世代の全員が後期高齢者に達成したことにも注目したい。
この第一次ベビーブームの世代が徐々に減り出したあとのに本当の葬儀業界の氷河期が訪れるだろうという見方があります。
それは高齢者医療制度の逼迫により葬儀費用に金銭をあまり掛けることができなくなる恐れがあります。それは社会保障費の拡大と削減です。すでにその傾向があります。
https://www.cross-m.co.jp/column/marketing/mkc20241101
ここで更に注目せねばならないのは国の社会保障改革にて今後の高齢者医療や年金受給である。
その費用が今の若年層を逼迫しているのと、直接葬儀費用への財布の紐の結びが固くなっていることだろう。
更に忘れてはならないのは、この若年層の子育て支援も充実化せねばならないことで、例え毎年160万人以上が亡くなっていくとしても、葬儀費用に充当されるのはどれくらいだろうかと。
現状の葬儀業界は、式場の空きはあるが、多くのところでは打ち合わせができる担当者がおらず、打ち合わせですら数日間先延ばしである。
そして、そこから火葬はいつかと打ち合わせに入るので、火葬場も詰まるわけです。
労働力の確保が重要であるが、葬儀に関してはコンビニのように無闇に外国人をスタッフとして導入することができない。
すでに首都圏では葬儀パラダイムがシフトしている
人口動態の確実性において、多死社会はすでに現実である。
2070年には日本の総人口(外国人も含めて)8700万人となるだろうと。
現在の1億2000万人からすると3300万人の現象である。
そこを支えているのがより若い世代である。
故人の子どもたちの世代が、すでに少子化によって確実に減っているので葬儀の規模も小さくなる。
場合によってはバーチャルで執り行い、しかも火葬場からの葬儀のネット配信になる可能性もあるだろう。場合によってはMR配信になるだろうと。
小規模化・簡素化・低価格化
複合的な社会変化に伴う形態の変更が存在する
- 価値観の変化:伝統やしきたりにこだわらず、故人らしい自由な形式で送りたい、あるいは残される家族に金銭的・精神的負担をかけたくないという考えが広がっている
- 人間関係の希薄化:核家族化の進展 4、地域社会との繋がりの希薄化により、葬儀に呼ぶべき参列者の数が絶対的に減少している。特に高齢で亡くなる場合、友人や知人もすでに他界しているケースが多く、大規模な葬儀を行う必要性自体が薄れている
- 経済的要因:長引く景気の低迷と将来への不安から、葬儀に多額の費用をかけることへの抵抗感が強まっている
これは民主党が政権を取ったときからすでに始まっている。
派遣村が生じ、ノマドワーカー、ギグワークスの時代に入った。
人々は休むことなく本業と副業をやりながらやっと暮らしていけている。
今でも株価は過去最高金額を迎えているが、賃金と富の配分ができておらず、弱者は弱者のままであり、政府もそれを認識しているのがこの対談でわかります。
労働分配率が低い日本は、中小零細企業が99.7%であり、日本勢対の雇用では70%に登るので、上から落ちてくるおカネが足らない(分配率が低い)から支払えないのが現状である。
麻生さんがよく言葉にしていた税的に「内部留保」と総理のいう内部留保は違うことにも注意していただきたい。
大切なことは
葬儀の形態と業界構造の変化が訪れていることはご理解いただけたと思います。
35年前の死亡者数82万人の中で2兆円産業。
現在は死亡者数160万人以上で1.6兆円産業を踏まえるとジリ貧状態であることが伺えます。
つまり、葬儀業界全体の売上高は近年伸び悩んでいるのです。
葬儀の小規模化・多様化: かつては親族や知人を多数招いた一般葬が主流でしたが、最近は家族葬(親族やごく親しい人だけで行う葬儀)や直葬(通夜や告別式を省き火葬だけ行う葬儀)が増えています。
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/h007.html

葬祭業
この表を見てもわかるようにコロナ禍で一気に落ちたのが伺えます。
若干2022年には戻ったように見えますが、死亡者数が増えただけあり、2023年、2024年は横ばいとも言えます。
この中で葬儀業に人気があるビジネスに見えるのはまやかしだと考えていただきたい。
大手企業は少なくありません。
この数年間、上場企業や大手互助会が吸収合併をしています。
ご遺体の扱いに関して何も知らない人が入ってきても専門知識がないので長続きしません。
まずは冠婚葬について学べる学校を出ないないと就職は見つからないのが現状です。
競争の激化と企業淘汰: 葬儀業は特別な免許がなくても参入できるため、全国に5000~8000社(屋号を変えているのと届け出が必要ないので把握しきれていない)もの葬儀社が存在すると言われています。これから更に大規模淘汰の時代が訪れます。
インターネット上で葬儀社の料金やサービスを比較検討できるようになり、利用者が価格や内容で葬儀社を選びやすくなりました。
高齢者自身が生前に葬儀の事前相談をしておいて葬儀社を決めるケースも増えており、葬儀社間の価格競争が起きています。
つまり利用者を事前相談の時点で争奪戦が始まります。
これが葬儀価格の低下に結びつき、価格競争に対応できないところが淘汰または廃業していきます。
弊社戦略としては徹底的なDX化です。
エンジニア経験、システム設計経験、更に葬儀社経営経験をベースに自社及び共同でこの供養産業である葬儀業のスリム化と同時に骨太化を図る予定です。
大切なのは多死社会におけるインフラの充実化です。
現在、式場は空いていても打ち合わせする人がいないので葬儀社に頼んだはいいが打ち合わせに三日待ちなどの状態が起きています。
これを止める必要があります。
それをやろうとしないのも葬儀社です。
いや、一社だけではできないのが現実です。
多死社会において物理的に人がいない(スタッフ不足)が原因です。
今、大手がドミナント戦略で活動しています。
小さい会社がそれに対して生き残るにはニッチへの参入です。
しかし、ニッチだと伸び悩むのが現状です。
まして、大手には会員制度があり、互助会制度もあります。
病院での紹介時代はすでに終わっているので、そこの心配は一切ありません。
地域に根付くドミナント戦略はFC方式があります。
弊社としてはまず終活センター設立、DX化推進本部が重要だと考えています。
ブランディングは二の次になります。小さいだけのブランドは存在しません。
必要なのは生存から存在への意識、そして意義。
コミュニティとの深い関係(大成祭典さんの戦略)とハイパーローカルにおいてのデジタルマーケティング戦略。
寺離れをしている無宗教葬、自由葬、自然葬などの提案。
そこにはDX化が必要です。
よく間違えられるのがデジタル化とDX化です。
DX化は戦略があります。
FAXを電子メールにするのはDX化ではなく、電子メールやLINEでの問い合わせにおいて、業務改革、一人で抱え込まない、部署ごとの把握、社員のワークフローの充実などに影響することです。
そこからアフターサポートだけでなく、リアルタイムサポートにも繋がります。
終活支援、葬儀のサポート、そしてグリーフサポート。
これらはフェーズに分けて導入する必要が多くの葬儀社に必要です。
そしてグリーフに関しては必要以上にそのコミュニティに入りこまないこと。
自分が対象者でないなら、余分なトランザクション(入り込み)があることで信頼を失うことがグリーフの世界では言われています。
しかし、葬儀社もある程度の専門知識は必要とします。
葬儀全体のエコシステムの再構築
多死時代のパラドクス」は、中小葬儀社に厳しい淘汰を迫る一方で、新たな成長機会をもたらしています。この波にどう対応するかが自社含めて他の多くの葬儀社に課題です。
小規模化・低価格化と、大手資本によるローカルシェアの奪い合いが急速に進行しています。
構造変化の中で、中小葬儀社が大手と同じ土俵で価格や規模を競うことは、敗北への道に他なりません。
だからこそ、ランチェスター戦略というのが存在します。
- 超地域密着(大手の大きい網の目をくぐる方式)
- 徹底的な専門性(ニッチへの対応)
- アセットライト(身軽)になり小回りが利く経営
- パートナーシップ(アライアンス構造)
これらが2025年後半から必須であろうと。
そして小さい葬儀社はAI活用が更に必要不可欠になっていくだろう。
