NEWS LETTER Frogblue™はアオガエルではない

ニュースレター2023 年 8 月 13 日



frogblue社のホームページより

Frogblueはアオガエルではない 

Frogblueという製品に去年、ビッグサイトでの展示会にて遭遇しました。
直訳すれば青いカエルだけどカエルでもなければ青くもない。
一言でいうとBluetooth制御できるスイッチである。

実際、製品の色は緑なんだけど(正しくアオガエルみたいな)ってことでアオガエルではない。
どっちなんだよ?そして、Frogblueはホップするんです。∑(゚Д゚)エ!?そう、ネット上でホップします。
ホップ・ステップ・ジャンプのホップです。

この製品はドイツ生まれのネットワーク機器でBluetooth技術を使って色々なモノを制御します。

な〜んだ、そんな古いモノかと。
実は、古いと思われがちですが、このBluetoothの技術はちょっと違うんです。
どう違うんだよ!って勿体ぶらないで早く!
Bluetooth技術は日々進歩しています。
遅延をどれくらいなくすかなどで、バージョンが上がっています。
ここにある程度のことが書かれているので参照できます。
https://tech-camp.in/note/technology/95393/

さて、私がBluetoothと出会ったのはこの記事に書かれている1999年ではない。
実はもっと早いんです。
遡る30年、私がミノルタでプリンタ開発のエンジニアをやっていたころです。

コントローラ(印刷するための頭脳)とエンジン(印刷するための現像機を制御する装置)の通信の見直しでした。
まず、コントローラは頭脳であり、皆さんが一度は聞いたことがあるかも知れないPostScript®言語やPCL言語、エプソンのESC/Pなどの言語処理をする「頭脳」です。


これはパソコンからデータをもらう際に「ここは太文字」「イタリック」にしてねというコードをプリンターへ送ります。パソコンとの接続はパラレル(並列)ケーブルまたはシリアル(直列)ケーブルで繋がっています。
このパラレルケーブルは8ビットで16ビットデータを送る場合、2倍、32ビットの場合は4倍プラス制御プロトコルを送ります。
シリアルケーブルの場合、それが1ビットずと送られる仕組みです。

もう死語であるパソコン通信で利用していたモデムがその類です。
今もケータイのパケット通信で似た技術が活用されています。日本ではFAXがそのものです。

キヤノンホームページより https://canon.jp/business/solution/canofax/lineup/l250


プリンタのコントローラから描画「エンジン」にデータが送られます。
これがプリンタのインクジェットならインクを紙のどこに打つか、レーザプリンタなら感光体にレーザーをどこに打つかなどを制御するところに当たります。

現像器は感光体とトナー補充装置のことを意味します


コントローラとエンジンのやり取りはパラレル通信接続の製品もあればシリアル通信のものもあります。

実際、コントローラからエンジンにはパラレルからシリアル変換されて、エンジンが描画処理します。とくにレーザーの場合はデータを小さく分けて解像度に合わせて(当時は300〜400DPI (dots per inchi) でした)、「A」という文字を細かく砕いて光を感光体に当てていきます。実際、240, 300, 400, 600, 1200dpi とかや、エッジ向上技術で主走査(横向きの動き)には300dpiを600にする技術や、強度変調によりリアルグレースケールを用いるプリンタやコピヤーを開発していた。

この現象を見るには、テレビや液晶モニターに虫眼鏡を当てて見るとRGBの細かい粒子が見えるかと思います。それと同じものです。細いから一つのドットとして見えますよね。

JapanNext社及びWikiより
このモニターは私が愛用しているモニター


さて、Bluetoothに戻ります。


パソコンから通信しているときは、パラレル(並列)送信が主流でした。
こっちのほうが速いという認識でしたから。
しかし、バス幅(通信帯域)が増えると、つまり8ビットから16ビット、32ビットとかになるとケーブルが太くなり、更にノイズが乗りやすくなります。
ノイズが乗ると、エラーが発生して、データの再送が増えます。
増えると、全体的にデータ転送が遅くなります。
旧インターフェースのSCSIがいい例です。
SCSIの略はSmall Computer System Interfaceで当時はアップルマッキントッシュが外部HDDを接続するために活用されたインターフェースです。その後、IEEE1394 (FireWireに置き換えられて、今ではUSB及びThunderboltですよね)。

ここで考案されたのがシリアル通信の最適化で速度を上げることです。
それが今のUSB(Universal Serial Bus)ができた理由です。
Bluetooth通信の前に、皆さんのケータイ(当時のガラケー)には光で通信する機能があったのを覚えていらっしゃいますでしょうか?


IrDA (Infrared Data Association) という規格でお互いのケータイ番号交換をしていた時代がありました。

これがまた不安定で、強い光(真っ昼間)だと赤外線に干渉したり、ちょっとでも光軸がズレると認識しなかったりしていました。
今でも、赤外線通信はテレビ、エアコンや照明のリモコンは同じ赤外線技術を利用していますが、プロトコル(通信の約束)が異なります。

そもそも赤外線通信を用いたデータ通信は不安定であり、干渉したり、思わぬ装置まで動かしてしまったりするので信頼性が必要な装置には取り付けることができません。もちろん、通信技術の向上によって通信速度が大幅にアップしましたが、技術的にできても、なぜそれを採用する必要があるのか、そして安定した代替品があるのに無理してそんなのを使う必要があるのかといううことでIrDAは廃れていったのです。

プリンターも搭載されましたが、通信速度が遅くて使い物になりませんでした。

その反面、Bluetoothだが、1999年にバージョン1.0が発表されて以来、どんどん進化しはじめました。

1999年にVer. 1.0なのに、なぜ30年前の1993年に?ってことだが、実はここからが開発の長さとエンジニアが30年後、50年後でも進化を想定した土台づくりだったのかも。

私がミノルタでプリンタのエンジン開発からコントローラ開発部隊に異動したのが1993年くらいでした。すでに1994年には描画データの検証などを行い、社内のあらゆるところへ出張していました。特に豊川が多かったので、豊川には何かと愛着があるのかも。

そして当時、私の同僚にアイルランドから訪れていた実習生(実際、日本側の社員になった)ピータくんがいました。日本語がわからないから、私がバディ制度で一緒に仕事をすることになったのです。
ある日、ピータくんと私で、複数台のプリンタケーブル交換が面倒クセ〜〜〜〜!っていう話をしていてもっといいもんないかな〜って相談しだしました。


当時はもちろんGoogleもなければインターネットすらある特別な端末以外は社内で繋がっていなかったのです。IPアドレスをどう割り振るかという管理主義もありました。

実際、社内ネット環境はあったが、外部へつながるのは情報システム部で一部のユーザのみでした。ネットはコピヤー開発をしている人たちがソースコードを共有するために利用されていまして、後に私も活用させてもらいました。

私は当時ミノルタの基幹システムを社員全員が使えるようにしようというとんでもないプロジェクトにも首を突っ込んでいて、社内LANの共有化をしよう!って動き出しました。
それには素人が意識しなくてもよいAppleTalkというプロトコルを利用して社内でマックのシステムを作ろう!ってことに加わっていました。その動きで当時のミノルタ事務機販売がアップルの正規代理店になったのです(当時はライバルのキヤノン販売の息がかかったところだけでした)。

そんな中、Googleもない時代の検索と調査は特許を見ることから始まりました。

そう、エンジニアの基本は他社の特許を調査することから始まります。日本は幸い、公開制度というのがあり、アメリカみたいに非公開で、突然、浮上するサブマリン型とは違い(これがミノルタの調査の甘さと政治判断の甘さでオートフォーカス特許紛争で負けた–一言で例えるならミノルタのベトナム戦争みたいな政治で負けたものでもある。)公開されているものを調べるとどんなモノが研究されているかわかる。
そこでスウェーデンのエリクソン社(後にソニー・エリクソンは合弁会社でケータイを開発していた)のBluetoothを発見したのだ!

エリクソンはケータイの基地局を作っている会社でもあったから無線通信技術に長けていた。これは使えるかも!って目をつけたのです。

実際、コンソーシアムが立ち上がって、モノになったのが1998年で私がミノルタを退職したあとだったけど。つまり、PCとプリンタを接続するにはどうやったらいいかと。


実は、私がミノルタにいたときに開発コードネーム(今だから言えるけど)NC-1Lというプリンタがあり、これをエンジンのみNECやEPSONにOEM供給していました。私はその後継機(LC-4、後にLC-6)の後継機(NC-X)を今で言うハードもソフトもドライバーもやるフルスタックエンジニアとして開発していました。LCはLow Costの意味であり、キヤノンのLBP-4(製品名 LBP-A404機種)の対抗馬の開発の次の機種で「X」(未知のファクターという意味のマシン開発をしていました。

余談になりますが、当時(1993年くらいにこのLBP-A404というプリンタが出たとき、用紙の給紙タイミングを制御する「タイミングローラー」もなく、徹底的なコストダウンを図ったエンジンでして、それをアップルが採用しました。
その後、私が開発していた継機はパラレルポート、シリアルポート、オプションでPS互換(当時はBauer PDFと呼ばれるPostScript®互換)言語を搭載した場合AppleTalkを取り付けたりすることができるプリンタに化けるような仕組みを考えていた。
しかし、やはりWindowsから複数台のマシンからプリントしたい場合、当時は自動または手動切替器が必要だったりで大変だった。だからこそ無線通信技術を活用したかった(ちなみに私がボストン大学で専攻したのはアンテナ工学である)。


LANはまだNETBEUIプロトコルやノベル社のSPX/IPXが主流で、今みたいにTCP/IPプロトコルが普及していなかった。
実際、私がミノルタを退職したころは社内LANがきちんと整備され、TCP/IPプロトコルを搭載したプリンタが普及しはじめていた。

1998年から考えると現在2023年で、あれから25年。
進化しているのだよ。

さて、まだまだ化石発掘の話は続きます。

WiFi(無線LAN)技術もだが、同じく進化しています。
この話をすると論文が書けてしまうので、ほどほどにします。

WiFiも干渉したり、電波が繋がらなかったりします。
距離が伸びれば伸びるほど電波の繋がりが悪くなります。

電波の強度は距離の2乗の反比例になります。

そこで、無線LANは当時、ホッピングという技術を使ってパケットを転送する手段を用いました。それが中継機です。島から島へデータを転送します。

これを読んでいる賢い諸君なら、すでにお気づきだと思うが、速度が半分ずつ落ちるのよ。
つまり転送しているから次の島(ネットワーク装置)にデータを受け渡す(ホップ)ことでかなりの無駄が生じてしまう。

これはネットワークの宿命でしかない。

そこで登場したのがMESH技術である。

網目のようにつながる仕組みを意味しています
電波を網目を使った感じで隅々に届ける手段である。
非因果的システムでないので、入力速度よりも出力速度が上がらないため、データ転送速度は上がらないが、電波強度を有効に利用するため、再送が減り、トータルで電波が届く領域が広がるので(もちろんあるルータからこのパケットは落としたいとかなどの細かい設定はできなくなるが)、トータルで電波がつながることで安定が図れる。例えば、1Fに大本のルータがあって、奥の部屋や3Fの部屋には電波が届かなく、とくに扉を閉めてしまうと繋がらなくなったり、転送速度が著しく落ちたり、中継機だと切り替わるたびに通信が途絶えたりするので不便が生じてしまうところを「メッシュ」技術で補ってくれる。
そう、これがBluetooth Mesh技術のベースとなっています。

Bluetoothはもともとこのメッシュ技術を想定して設計されていないが、Ver. 4クラスのもの以上だと通信チップ次第でアップグレード可能だったりします。(メーカーは保証できないのでやらないでしょうけど)。
そして、128ビット暗号化キーを採用(パケットが64ビットなので分断されているから解かれにくい)、さらにフラッド(洪水)通信方式を用いているので、中継機器は電力を消費することがないので便利だったりする。色々な利点があります。


この規格は2017年に発足されており、技術面では5年も経っているので、現在はだいぶ進化しています。
さて、やっとこの長〜い歴史の話を終えたところで、Frogblueの話をします。

日本の代理店は横浜の K J Fellow社です。

去年の建築業界の展示会でFrogblueを展示していて、ナンだこりゃ?ってことで注目していました。
そして、たまたま先月に製品案内のメールをいただいたのと、開発者たちが日本に訪れているので、早速実機を見てみたいのとBluetoothで懸念していた内容を聞いてみることにしました。
Frogblueの開発者は元Mobotixというところでエンジニアをしていた人達です。
Mobotixはインテリジェント監視カメラを開発している会社であり、実はこのMobotixという会社はドイツにあり数年前にコニカミノルタに買収されていたのだ。

ここでまた古巣との縁があったのか・・・


さて、このFrogblueは壁に埋め込むBluetooth制御できるスイッチである。
しかも熱を発しないので安全でVDE規格まで取得してある。

そんなのアマゾン・アレクサに接続して制御できるスマートリモコン装置じゃないか!って思われるでしょうけど、ちょっとどころかかなり違います。
そのアレクサと接続できる、Bluetoothでエアコンとか制御できるスマートリモコンは基幹システムに接続できないのです。電源そのものをシャットダウン(つまりキルスイッチの用途)やありとあらゆるモノを制御できないわけです。
このFrogblueは本来は工場やオフィス用途に開発されましたが、もちろんご自宅でも導入できます。
工場の場合、たぶん電気工事士の資格を持った人がいるだろうから、その人を交えて基幹システムに導入することになるでしょう。
日本ではオフィスや自宅の場合でも、電気の配線や壁を開けたりするので、もちろん電気工事士の資格も必要だし、壁に穴を開けて埋める必要があるから、直し方なども心得る必要があります。オフィスの場合は借家だろうから、スケルトン返しでない場合、色々と難しいかなと。

さて、ここでFrogblue™の製品を紹介したいと思います。

ドイツ生まれのBluetooth通信装置によって、インターコムであろうがヒーター、ブラインド、エアコン、照明などを大もとのところで制御ができます。

さらにWLANブリッジ接続により、Bluetooth装置を外部からアクセスを可能にし、自宅にいてもオフィスの電源を入れたり切ったりすることが可能になります。
そんなの今でも、先ほどのスマートスイッチでできるじゃないの!って・・・

はい、ある程度は可能です。

さらに、ネットを通じて自宅のエアコンのスイッチを入れたりすることも可能ですよね。
でもそれくらいなんです。

このFrogblueを使えば、配線を組まず、あらゆる装置の電源をコンセントの裏から入・切ができます。つまり複雑な配線の引き回しは一切必要ありません。すべてワイヤレスです。

テレビなどが有する待機電流を切ってしまうこともできるので省エネにもなります。
更に今ではビデオデッキで録画しようとする人も皆無だろうから、ビデオの予約録画をする必要なくなったわけです。
そして、タイマー設定でテレビをつけることもできるので、テレビに付属の録画も可能になるわけです。
普通ならスイッチを切ったり、プラグを抜いてしまったらどうにもならないわけですから。


ドイツの220〜240V対応ではなく、日本(アメリカ及び台湾仕向け)には100〜120V対応もあります。
装置は用途に分かれており、ディマー用だったり、ヒーター用だったり、入出力の数が違っていたりするものがあります。組み合わせによってかなり無限の使い方ができます。
ただ、まだ日本で技適を取得していないものもあるので、K J Fellow社さんによると現在申請中のものもあるとのことです。


では、なぜ私がこれを紹介しているかというと、葬儀場に使えるからなんです。

葬儀場には、多くの電気設備が存在しています。
さらに演出のために電動カーテンの開け閉めなども存在します。

ライティングどころかドアの施錠までも可能です。これらを演出プロデューサー一人がスマホ1台にてすべて管理できるわけです。誰かにカーテンを閉めてとか、灯りを下げてとかいう必要が一切ない。
そこにFrogblueを入れ込めばいいだけである。


葬儀場では、演出効果のために司会者や別の担当者がタイミングを合わせてライティングの調整をしたり、忙しいのです。
まして、映像も流していたりすると各々へ指示を出すのが大変です。
これを司会台のところですべて制御可能になります。
さらに監視カメラとも連動できるので、映像をメッシュで中継することも可能となります。


ただ、一つだけ懸念があるのは、司会者がすべてをやらねばならなくなるということです。
司会者でなくても今までスタッフ3名以上を有していたときに司会者と助手一人ですべてが完結するということです。
ブラインドも開け閉めもワンタッチでできます。
しかも、プログラミングしておけば、所定値にプログラミングしておけば、スマホアプリのボタン一つですべてが動きます。
そのためのアプリなどもすべて揃っていますのでご安心ください。開発サポートスタッフもfrogblue社さんもおりますし、もちろんK J Fellowさんでも当社がお話を伺うことも可能です。

課題は誰がそれをやるのかということですが、それも問題ありません。
K J Fellowさんがすべてやってくれます。
もし葬儀社以外でも設備を導入してみたいという会社さんがいらっしゃるならぜひ当社へご連絡ください。

ご連絡はLINEなら @yeyshonan または @jfuneral にて繋がります。Facebook Pageまたは弊社コンタクトページよりも可能です。

©有限会社 ワイ・イー・ワイ

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