AIと葬儀

Society 5.0 って言うのは知っていますか?
簡単に言えば、「テクノロジーを活用するスマート社会」です。
簡単そうですが、漠然として難しいですよね。
まずSociety 1.0からの説明が必要かと思います。

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

Society 1.0 は狩猟
Society 2.0 は濃厚
Society 3.0 は工業
Society 4.0 は情報
Society 5.0 がVR, AR, MR, 更にSR(Substantial Reality)を使った超情報社会でもあり、ビッグデータを活用し現実と非現実をつなぎ合わせた新たな情報社会のパラダイムと言ってもいいでしょう。

え?難しすぎますか?
はい、難しいです。
3次元の世界の人たちに無数の3次元が存在するような話になります(それが4次元と思って頂いてもいいかな)。
つまり、スマートな経営を目標とした社会でもあります。

では、スマートってなに?
英語ではSmartとCleverと言うのがあります。
もちろん日本語でも、頭の良いやり方と賢いやり方があります。
頭のよいやり方であっても効率的でないこともあります。
つまりCleverと言うのは、ずる賢いと言う意味も含まれています。

さて、このSociety 5.0がAIと葬儀にどうつながるかを表面だけ触れてみます。

まず、なぜ表面だけなのか・・・それは情報が多すぎて十人十色の世界だからです。
見る角度によって、玉虫色に変化するから、この答え一つが万人に正しいと言うわけではないからです。

産業革命により葬送文化はだいぶ変わりました。
今の葬送文化は戦後の文化です。
江戸時代の名残りなどはあったとしても、意味は受け継がれていません。
火葬一つにしても、墓地不足、疫病対策、先祖代々への納骨などで一括りになっています。
実際、土葬時代はどうだったか?座棺(樽の棺)で籠で運んだ時代の名残りが(強引な言い回しだが)霊柩車であるわけです。
これらの文化は引き継がれているが、当初の意味はかなり違ってしまっている。
それは、文明が発達して、工業的要素が浸透し暮らしが便利になったおかげで大勢で棺を担ぐ必要がなくなったと言うことです。

では、この超文明社会が葬儀にもたらす影響はなにか?

まず病院に入院から始まると、AIによって治療薬や病気まで判明する。
わざわざ医者が採血しなくても、病院のロボット検査機に患者が腕を置いたら静脈を赤外線センサーで探し当てて、超極細針で痛みも伴わず採血してくれて、そのまま検査してくれるでしょう。
人間はなにをしてたらいいのかと言うとロボットが誤動作したときの対処と患者の不安要素を取り除くだけでしょう。

そう、この「不安要素を取り除く」ことがSociety 5.0で必要となります。

つまり、Society 5.0は4.0までの世界をすべて網羅し、それを統合するスマート(かっこいい)社会なんです。
病院の検査から入院に至って、その方が亡くなったとき、すべてIoTが検知する社会になっていてもおかしくないわけです。
人間にはセンサーを取り付けなくても、赤外線センサーや超音波センサーにて心拍数、体温、更に脳波までチェックできる社会になります。
こうなりますと、医者は死亡診断書を書くだけになります。
いや、死亡診断書もロボットに書いてもらい、生身の人間の医者は「はい、そうです」とハンコを押すだけのダブルチェック機構でしょう。

そして、次にAIが葬儀社へ電話を掛けます。
カスタマーサービスはすべてAIが行います。
電話も葬儀の予約、さらに火葬場の予約まで葬儀社がやるのではなく、AIが提携している葬儀社の式場や周囲の式場の空き状況から遺族が希望する日取りをインプットしておけば取ってくれます。
もう一歩踏み込めば、遺族の希望もAIが勝手に把握して最適な日取りを取ってくるでしょう。
もうここまで行けば人間なんか必要ない世界になります。

葬儀社も病院までわざわざ出向かずに、自動搬送システムを搭載した自動運転技術を導入した寝台車が病院にお迎えに行くようになるかも。
人間よりも安全性は高いはず。
もちろん人間も同行しますが、これは喪に付している遺族を人間の温かみで落ち着かせる仕事だけを担当する。
これも必要なくなる時代が来るでしょう。

さて、このAIと葬儀、どこで活躍するかと言うと葬儀の規模の打ち合わせでしょう。
遺族も葬儀社も一番の泣かせどころは会葬者の数が全くわからない。
これは経験値でしかものを言わない。

お通夜に8割の人たちが訪れると言っても過言ではない。
しかし、それは都会の場合だ。
人間関係が濃い田舎や有名な人たちくらいだろうと。
田舎ではその数字が変わってくる。
しかし、今では「香典お断り」「近親者のみ」「家族葬」とか葬儀の規模がどんどん小さくなってきています。

全葬連が2017に出した資料が内閣府にありますのでリンクを張っておきます。

クリックして170428_shiryou5_1.pdfにアクセス

厚生労働省が出す数字では、死者の数は2040年までには160万人を超すと出ています。
現在は約130万人前後の年間死者数であと20数年間は増加する一方だと。

クリックして0102-b.pdfにアクセス

つまり、20年後には超高齢者社会及び死者最多数の世界でもある。
以前にも紹介したが2035年で65歳以上の人口の割合が33.4%と言うことである。
つまり3人に1人が高齢者なわけである。

これが健康的な社会といえるだろうか?
答えはNOである。

これをSociety 5.0称するAIやロボットが生活を補ってくれると「望んでいる」。
つまり、これはあくまでも今の我々の願望であり、希望でもある。
子供が親や祖父祖母の世代の面倒を見れるほどの余力がない。
昨今、自民党の女性議員が生産性と性マイノリティの人たちの人生の話を一緒くたにして物議を醸したが、もうそんな生易しい時代ではなく、一人ひとりが責任を持った暮らしを作り上げねばならない。
そして医療現場、工場、決済システムまで変わらねばならない。
もっと生活を簡素化して、互いの勝手な忖度抜きで仕事を進めていくしかない。

そこでAIが葬儀社を電話で呼ぶ、葬儀社のコールセンターもAIで受け取る。
AIどおしが人間介入なしで勝手に話を合わせる。
これこそ、忖度抜きで葬儀の手配が進む時代になってしまわないか。

つまりデジタルテクノロジーの融合で葬儀が始まる。
極論を言うと、ここまで進めば遺族抜きで葬儀が執り行われてもおかしくない時代になる。

逆に、人々はVRを使って葬儀にお参りすることもできる。
わざわざ台風の中、葬儀に参列する必要がなくなるわけです。
もっと言えば、自分のアバターを葬儀会場へ飛ばすことも出来て、MR、SRの世界になるわけです。

まだこの世界には達していないけど、フライトシミュレーターやドライブシュミレーターはすでにVRの世界で訓練を始めている。
さらにそれを体験し楽しむ時代まで訪れている。

 

サービス業である葬儀もAIとVRを使い、技術の融合にてこうなる日は近いはず。

最初にも書きましたが、葬儀は十人十色で一人ひとり違うことが前提です。
簡素化することで儀式や儀礼を行わずこともあれば、どっぷり人間味を入れたものもあります。
しかし、最後は人の手によって死者を弔うことが大切ではなかろうか。