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日本の食文化は変化している

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昨日(2016/09/13)の日本外国特派員協会の朝会にて学校法人 辻料理学館 辻調理師専門学校 理事長・校長、そしてグループ代表の辻 芳樹氏が会見を行った。

泣く子も黙る辻料理学校の総帥でもある。

題名として、日本料理「伝統と革新」に関してお話を伺った。

まず、日本は暖流と寒流の両方があるおかげで、世界の15%のお魚が日本近海を通るのでお魚にはものすごく恵まれた国である。そして日本の沿岸の総距離を合わせたら、アメリカの1.5倍もの長さがある。それでも面積的にカリフォルニア州より若干小さい。そして、その面積の70%が山岳なので利用が難しい。

よく知られていないのが、日本の文化は世界から影響があってこそ、今の食文化がある。
大陸からの料理だけではなく、文字も、食卓で利用する箸やスプーン・フォーク等もそれぞれ海外から日本に持ち込まれたものである。これが融合して今の日本の食文化を支えている。

料理にしても、京都にお住まいだった天皇家への料理が懐石になったり、それは禅の思想と茶道からの融合であったりもした。
いくら徳川幕府時代に鎖国を貫いたからと言っても、海外からの貿易は続けられていた。
当時のファーストフードであった、寿司、天ぷら、そば、ウナギなどは江戸の生活事情(多くは調理で火を使うので火災が多発した)で発展してきた。
寿司は当初東南アジアからお魚が輸入されて、どうやって保存しながら食べられるかで発展したものでもある。
大阪でも同様に、貿易が盛んで庶民の食文化が広がり日本の台所と言う感じになった。

さて、21世紀に日本の料理はどこに向かっているのかと。

今、Cool Japanは本当に日本食のことをどう思っているのか。
そもそも、日本食ってナニを意味しているのか。
どれだけの人が理解しているのか。

まず、青山のナリサワを見て頂きたい。
シェフの成澤氏は学園の卒業生でもあり、今では世界のベストレストランにも選ばれている。
成澤氏が作るのはフランス料理か?それとも日本料理か?
レストランはフランス料理となっているが、出されるものは和の食材である。
見た目こそフレンチだが日本料理でもある。そしておもてなしも日本的である。

海外で活躍されてきた日本の有名料理人は海外のセンスを融合して新たな日本料理を日々生み出している。
これが「Authentic」(本物)なのかと言うと、そうでもあり、そうでもない。
しかし、日本人が作る料理であり、世界に影響を与えている。

次に大きな問題は病院食でもある。
なぜ、こんなに美味しくないのか?
作っている人たちが栄養素だけを見ているからか?
食材や食感を失わせてしまうことが料理といえるのだろうか?
宇宙飛行士が持っていく、宇宙食ですら、最近良くなってきているのに何故病院食はこうまで不味いのか。

今まで、国が何をしてきたのか?
Cool Japanで突然、日本食を文化にしてプロジェクトを立ち上げて日本食を柱に文化を広げるんだ〜!と騒いでも、そもそも日本食の定義、使われる食材だけではなく、皿やおもてなしまで含めたらとてつもない産業であることに気づかないのか?と。そして、今まで、何をしてきたかと辻氏は投げかけてきた。
寿司、天ぷら、そば、ウナギの蒲焼きだけが日本食ではない。

更に、評価する人たちの今までいなかったことに注目して欲しい。
これは、ジャーナリズムにも問題がある。
日本食を軽視して、食に対する評論家が少なすぎて、取り上げてもらえなかった。
歌舞伎や絵画、陶器、着物など残るものには評論家がいたが、消費されるものには注目されなかった。
そして、今、問題になっている食べログが一般に広がって、本当の良いものや文化が影に消えていく。
有名な画家が亡くなった後に価値が出るのと似ていて、リアルタイムで評価されないのが日本の食文化ではないかと追求している。

そして、民主制に走ると、その時のファッションが選ばれてしまい、大きなモノが見えなくなることがある。
人気のある食べ物やレストランは口コミ情報で左右されることも多い。
味は脳が覚えているだけで、比較するのは記憶の中だけであり、毎日変化がある。
それを頭に入れながら日本料理を学ぶ必要がある。

日本料理を学ぶ時、

歴史と文化も学ぶ必要がある

そこで、私は「葬儀の世界でも食文化は変わりつつあります。今までお通夜では精進料理を振る舞い(本来なら魚も禁止だが)軽く食事を済まされて帰る時代だったが、昨今は欧米化しているような気もします。食の専門家として、どのように今後は発展されると思われるでしょうか?」と。

このようなお言葉を頂きました。

まず、食べ物の好みは常に変化している。
どのように変化するかはわからない。
しかし、葬儀と言うのは年配者が主体であり、やはり最後は欧米化する食材から優しい日本の食材に戻るだろう。
日本の食事は年を取っても食べられるものであり、ファッションで一部の料理が欧米化しても、落ち着くであろう。

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